【遺言書がない】実家の相続はどうしたらいいの?
結婚することになったとしても、今の時代、子供は子供で世帯を構え、親世代も気を遣う同居を拒む傾向が強く、親と子に孫が一緒になった3世代同居はほとんど見られなくなりました。その結果、親が亡くなった際に実家をどうすればよいのかで悩む人々が続出しています。これが東京を含む日本全国で、空き家問題を生んでいる一番の理由です。
親が亡くなったときに探すものといえば
親が夫婦だけで家に暮らし、どちらかが先立っても残った方がまだ暮らしているというケースがほとんどの日本では、いよいよ夫婦2人とも亡くなってしまったときに子供は空き家問題と取り組むことになります。東京でも長年住んだ戸建て住宅となれば、建物そのものにはほとんど価値がないでしょうが、場所によっては土地にそこそこの値段がつく可能性があるため、子供が複数いる場合、誰が何をどのように相続するかを決めなければなりません。
故人の遺志を知るためには遺言書が最も手っ取り早い方法であるので、まずは持ち物の中から遺言書を探すことになるでしょう。ただ、遺言書はきちんと法的に認められる状態のものでなければ有効にならないことも多く、たとえ遺言書が残されていても遺産を巡って泥沼化してしまうことがしばしば起こります。
法的に認められる公正証書遺言といった形態で残されていない限りは、まずは親の遺産をもらう権利を持つ人たちが集まって、お互いに話し合って決めることになるのです。この話し合いのことを遺産分割協議といいます。
ここでさらに厄介なことになったと判明するケースが、土地や家屋が共有名義になっている場合です。共有名義になっている実家を売却するには、子供が全員で話し合ってまずは実家をどうするかを話し合うという、共有持分売却をするための手続きを踏まなければなりません。
共有持分売却が必要となる実家とは
兄弟姉妹が数人いた場合、その全員が結婚その他で家を出て独立しており、実家には親だけが住んでいた状態だったならば、子供はすべて親が暮らしていた実家という遺産をもらう権利を等分に有することになります。子供の全員が実家はいらないというのであれば、全員一致のもとで売却するという選択となり、この話し合いを書面に記しておくことで手続きができます。
仮に全員が同意しなくても自分が相続した分に関しては共有持分売却が可能ですが、この場合は明確に自分の物であると分かるものに限り、実家という対象物である以上は一部分だけの売却はほぼ不可能です。実家が共有名義であった場合には相続する権利を持つ人たち全員が同意しないと共有持分売却はできないと決められているだけでなく、一部分だけを買いたいという人も存在しないからです。
どうしても意見がまとまらない場合にはいったん誰かが代表して実家の土地と家屋の名義変更を行い、所有者となった上で改めて売却して現金化するという方法が最もスムーズな実家の処分方法となるでしょう。
ただし、相続するにあたって税金が発生する場合には代表者だけが金銭的負担を背負うことになることから、遺産分割協議書を作成して相続による税金の支払いが発生しないようにするといった対策も必要ですので、兄弟姉妹で話し合っても手に負えないとなりそうなときは司法書士に相談するのがベストです。
遺言書がない場合の相続でもっとも重要なこととは
親が法的に認められる遺言書を残していた場合には、明確に誰が何をもらえるのかが定められているはずなので、兄弟姉妹がいたとしても比較的スムーズに手続きが進められるでしょう。共有名義で所有していた実家が空き家になる場合、東京のような大都市では手放すという選択肢がもっとも多く選ばれますが、手放すにあたっては法的な手続きが非常に複雑になるため、法律家に頼む方が混乱せずに済むのは確かです。
誰かが代表していったん名義を変更するという手続きを踏まなくても、全員が実家を手放すことに同意すれば、共有持分売却はすぐにでも可能です。この場合は売却代金を法定相続人が平等に分配して親からの遺産として受け取ればいいことから、全員が同意することが一番すんなりと解決できる方法となります。
誰か一人でも同意しない状況でも、東京の地価が高いことからどうしても売りたいというときは、共有状態を解消するための共有物分割請求を行うという手があります。ただし、そのためには法律による専門的な手続きの知識が必要不可欠でしょう。
遺産分割協議書を作成して問題なく手続きができるケースであっても、司法書士の手を借りないことにはかなり煩雑な手間がかかります。ですから、これが共有名義となると、最初から法律家によってしかるべき手続きを行ってもらった方が、泥沼の遺産相続を避けることにつながります。
今や空き家となった実家は負の遺産となることが多くなっただけに、共有名義となっている親の家を相続する子供も大変です。様々な手続きを踏んでようやく実家の相続が完了する共有持分がある場合、兄弟姉妹間でいかに争わずに話し合えるかがカギとなります。